第30話 『猫の呪い』そして別れ


 死んだお父さんが代わりにと授けてくれた猫のミイちゃんは大切に育てました。

迷惑にならないようにと去勢手術もしました。

 ミイちゃんはいつも私と一緒にいて外に出ることはありませんでしたが、近所を徘徊する野良猫の仕業でしょうが、その出来事が私のミイちゃんの仕業と決めつけていたらしいです。

 事件が起きてしまいました。

誰かが毒入りの餌を家の玄関先の茂みの陰に置いていたのでした。

 その日、普段は居間で寝ているミイちゃんが玄関を開けた途端、外に出て行きました。

 何があったのでしょうか。いつも家に閉じ込めていたので広い世界を駆け巡りたかったのでしょうか。

 夕方近くになっても帰って来ません。心配で幾度も外に出て(ミイちゃん、ミイちゃん)と呼んでも帰る気配はありませんでした。

 朝になり、外で猫の鳴き声がしました。

もしかしてミャーちゃんが帰って来たのかと玄関を開けるとミイちゃんがいましたが、いつもは足に絡みついてくるミイちゃんでなく玄関にうずくまっています。

 急いで抱き上げようとしましたが、すでに体は硬くなっていました。

 いつもお世話になっている動物病院へ連れて行こうとはもう思いませんでした。

 

 そして翌日にペット葬儀社に連絡して個別火葬をお願いしました。

 主人も一緒に送ってくれると思い、火葬はうちの庭で行いました。ペット専用の火葬車両が来て思い出の品と共に1時間程度で終わりました。

 綺麗な骨壷に収まってしまいました。

悲しい涙よりもミイちゃんを私から離した人を恨む気持ちが湧いて来ました。

 つづく



by;colow.82